歯科Q&A
ムーシールド
ムーシールドとは、3歳児検診(など)で反対咬合(受け口)と診断された、幼児に使用される機能的矯正装置の事を言います。 印象(型)を取って、個人個人にあったものを作る方法もありますが、これはかなり難易度が高く、比較的(子供にも)楽に使用出来るという事で、2005年に既製品としてのムーシールドが発売されました。
ムーシールドには
1.早期初期矯正治療としての働き
2.被蓋(咬み合わせ)の改善
3.舌圧と口唇圧のバランスの改善
4.舌を高位(高い位置)に保つ機能
などが一つの装置に盛り込まれています。
これらの機能により、「歯並びを整える」というのではなく「子供の顎の成長を利用して、上下の歯の咬み合わせの関係を正常なものにしようとさせる」という目的で使用するものです。
3歳児検診で受け口(反対咬合)がみられる割合は約4~5%となっています。
全てにおいて治療が必要と言う事ではありませんが、成長によって自然に治る可能性は非常に低く、7%前後と言われています。
昔は効果的な治療道具などが少なかった事、自然に治るものだと考えられていた事などで放置される事が多かったのですが、今は出来るだけ早期に治療、改善させようという考え方も出てきていて、その中で効果的な方法の一つとされるのがムーシールドというわけです。
これで必ず反対咬合は治るのですか?
症例によっては難しい場合もありますし、上手く行かない場合もあります。
ただ何もせずにそのままにしておいて、将来的に矯正をするとなる場合に比べたら、もし結局矯正が必要になるとしても、少なからずリスクは低く抑えられると思われます。
ムーシールドはそれだけで反対咬合を完全に治すものと考えてもらうより、一連の矯正治療の流れの中での一番初期の段階に行なうものだと考えてもらった方がいいかもしれません。
3歳でないとダメなんですか?
当院で取り扱わせてもらっているのは既製品のムーシールドですので、サイズは1種類しかありません。(3~5歳くらいまで用になります)
例えば永久歯が生えてきた(6歳ごろ)くらいの場合だと大きさ的に入らないのと、その永久歯も覆わないといけないので使えない、という事になります。
3歳じゃないとダメ、というわけではないですが、その頃から行なうのが最も効果的だと言えるでしょう。
2008年末に、6歳臼歯も多く事の出来る大きなサイズのムーシールドが発売になります。
これによって適応もかなり拡大するのではないかと思います。
寝ている時だけで本当にいいのでしょうか?
昼間も使った方が改善、効果は早くみられるでしょうが、着けている時は話す事や食事なども出来ないわけですし、小さなお子さんの気持ちなどを考えると就寝時のみの使用が望ましいと思います。
ただ口呼吸や正しい嚥下のトレーニングを兼ねて使用する場合は、昼間の意識のあるうちに装着し、口を閉じたり正しい位置に舌をもっていくように訓練する事も効果的です。